「稼ぎたければ、働くな。」の感想~常識は捨てるもの

skeeze / Pixabay

頑張って働いているのに稼げない人へ

毎日頑張って満員電車の中通勤して、
どんなに上司が嫌でも我慢して仕事して、、
毎日残業で帰りが深夜になっても文句1つ言わず働いて、、、

「こんなに頑張っているのに、一向に生活が楽にならない。。。」

そんな風に考えている人も多いのではないでしょうか?
そんなあなたに是非読んでほしい1冊があります。

 

稼ぎたければ、働くな。

 

稼ぐためには働かない?
タイトルだけ見ても疑問しか湧きませんが、以下の感想を読んでいただけると、
このタイトルの意味がお分かりいただけると思います。

そして、どうすれば稼げるようになるのか、そのヒントもお分かりいただけるはずです。

 

著者は日本で一番休みが多い会社の創業者

この一見矛盾するようなタイトルの本の著者は、「未来工業」という会社の創業者、山田昭男さんです。
この会社は、電設資材の販売がメイン事業の会社です。

タイトルで「働くな」と言っている方の会社がすごいのです。
何がすごいのかと言うと、この本に書いてある内容から以下にいくつか挙げてみましょう。

 

  • 年間の売上が200億円
  • 日本でトップクラスの給料を払っている会社
  • 年間の休みが140日
  • 年末年始の休日が19日間
  • ゴールデンウイーク、夏季休暇が10日間ずつ
  • 残業は一切禁止

 

箇条書きにすると、ウソみたいな内容ばかりの会社ですが、当然実在する会社であります。
残業もせず、休みも沢山取って、なおかつ200億円もの売上をたたき出している。
そんな会社があれば、「自分も入社したい」って思いますよね。

ブラック企業という言葉が浸透してきた昨今、このような夢みたいな会社があるのかと疑わしく思ってしまうほどですが、創業者の山田さんに言わせると、これだけの会社に成長した理由は、

「働かないからだ。働かないから稼げるようになる。」

と言うのです。

勿論、全く働かないということではないのですが、要は「ただがむしゃらに働いたって稼げるわけがない」という事を言っているのです。

上の言葉だけを切り取ると、謎解きのように思えてしまう言葉でありますが、この本を読んでいると、この言葉の理由がじわじわと分かるようになってきます。ここでは、ほんの一部ですが、働かずに稼げるようになるという、その理由を紹介します。

 

常識を疑って捨てるクセをつける

この本を読んでいて、まず強く印象に残る言葉が、

「今持っているちっぽけな常識は捨てなさい」

という言葉です。

「常識を疑え」という言葉自体は、昔からよくある言葉ではありますが、実際それを行動に移す人はなかなか居ないのではないでしょうか?

しかし、この本を読むと、常識と言われている事を疑い、捨ててしまうことで、稼げるようになるヒントがちりばめられています。

 

まず「常識」というのは、「世の中の誰もが疑いも無くやってきたこと」と言えます。
大多数の人がやることが常識だと思われがちですよね。
ただ、大多数の人と同じことをやれば、大多数の人と同じような成果しか出ません。

未来工業でも、創業当時はライバル企業がたくさんいました。
他と同じような製品を作って売っていても勝てない。ではどうするか。
他の会社の製品には無いプラスアルファの価値をつけることを考えます。

つまり、「差別化」です。

未来工業では、電気工事の部品に、職人さんが喜ぶようなちょっとした工夫をすることで、売上を伸ばしたのです。他社がそれを真似しても、すぐに別の工夫をプラスアルファして、常に他社より先を行くのです。

このように、差別化とは常識を捨てることの分かりやすい一例かと思います。

常識とは、多くの人が当たり前だと思うこと。
常識に囚われていては、他社との競争に勝てない。
そこで、他社との差別化を図ることで、競争に勝つ。

「常識を捨てること」の良い一例ですね。

上記のほかにも、常識を捨てる事例は本書でたくさん出てきます。
あまり詳細に書いてしまうとネタバレになってしまうので、ほんの一例をご紹介。

 

  • 「出戻りは雇わない」という常識を捨てて出戻り社員を採用。出戻り社員は会社の「宝」
  • 「社員が勤務時間を水増しする」という意見に反してタイムレコーダーを廃止し残業禁止

 

いずれも「本当にやって大丈夫?」という声が聞こえてきそうですが、どれも未来工業ではうまくいっているのです。全て会社の売上増につながっていることは、本書を読めばわかります。

 

先手を取らずして仕事は無い

創業者曰く「未来工業は地方の中小企業」だそうです。
もちろん、並の中小企業とは訳が違うわけですが、やはり日本を代表するような大企業(パ○○ニック)と比べれば規模が違います。同じ土俵(業界)で真っ向から戦いを挑むのは無謀だと思われても仕方がありません。

しかし、創業者の山田さんは当然そんな事は心得ていらっしゃいます。
ここでも常に自社の製品にプラスアルファの価値をつけることで差別化を重ねていきます。

その中でも興味深かったのが「ビニールパイプ」の話。

ライバルはみな大企業ばかりらしいのですが、未来工業はその中でシェアトップを取っているとのこと。
その理由は、ビニールパイプの色が違うから、らしいのです。

どうやら業界ではビニールパイプはグレーと相場が決まっていたらしく、いわばそれが業界の「常識」だったのでしょうね。
そこで山田さん、ビニールパイプをベージュにして売り出します。

これが工事屋さんにいたく気に入られたそうです。
「ありがたい、これできれいに仕上げられる。」と喜んでいたそうで。

私もエンジニアなのでなんとなくわかりますが、現場の職人さんは自分の仕事に誇りをもっています。現場の作業では、できるだけ「きれいに」仕上げたいと思うのは当然のことです。
色もグレーよりベージュのほうがきれいに仕上げるのに都合が良かったのでしょう。
現場の職人さんと密にコミュニケーションを取ってきた未来工業の勝利です。

未来工業は「日本初のベージュのビニールパイプ」を作ったことで、工事屋さんの心をガッチリつかみました。こうなると、どこの工事屋さんも未来工業のビニールパイプを喜んで使い続けます。
まさに「先手必勝」だったわけです。

これはどんな業界でも言えることですが、小さな会社や個人事業主が大企業と渡り合うためには、「先手を取る」ことが一番効果的だと山田さんは言っています。
先手をとるためには、やはり普段から常識を疑い、人がやっていない工夫をプラスして売り込む姿勢が重要になるのです。

 

ホウレンソウは禁止だ

ビジネスマンの皆さんなら、ホウレンソウは知ってますよね?

野菜じゃないですよ。
報告、連絡、相談」ですね。

いつの頃からか、ビジネスでは常識と言われるようになっていた基本行動ではありますが、未来工業ではこの「ホウレンソウ」すら禁止してしまいます。
文字通り、上司への報告、連絡、相談は禁止としています。

これも創業者の山田さんに言わせると、

「いちいち上の指示や判断を仰いでいると自分の頭で考えない」から、禁止にしたのだそう。

でもこれは、自分も実体験を通じて分かるなあと思いました。
私は現在、会社員を辞めてフリーランスとして仕事をしていますが、会社員時代はどこか「会社任せ」になっていた部分はありました。自分より上の人間はウヨウヨいるので、仕事上での問題は自分で判断するより前にホウレンソウすることをまず考える「クセ」がついてしまっているんです。

しかし、フリーランスとなれば上司など存在しません。いるのは自分だけ。
仕事上で何か問題が発生したとしても、対処法を考えるのも決断するのも自分。
それによって起こった結果への責任も全て自分が取ります。
嫌でも自分の頭で考えて行動します。

すると、自身の判断力がどんどん研ぎ澄まされていくのがわかるんです。
そりゃあ失敗もします。しますけど、その失敗も最小限になるように考えて行動する「クセ」がつきます。
苦しい場面を経験すればするほど、様々なスキルが身についていくことが実感できるのです。

おそらく、未来工業でも社員の皆さんがホウレンソウに囚われることなく、各自が自分の頭で考えて行動することで、社員全体がどんどんレベルアップし、会社の業績アップにつながっているのでしょう。

ちなみに、ホウレンソウに固執する上司って結構多いんじゃないかと思うんです。
おそらく、社員に仕事を任せる自信が無いのでしょうね。
そのような会社では、上司は全く楽することもできず、ひたすら部下の管理に神経をすり減らして、その下で働く部下も窮屈な思いで毎日仕事をすることでしょう。
会社の業績も上がるわけありませんね。

 

会社で働く人、会社を経営する人どちらも必読

本書を読んでいて、この社長のアイデアをどんどん実行に移す様は読んでいて痛快でした。
しかもフィクションではなく、すべて実話なのだからすごい。

会社で働く方にも是非読んでほしいですし、会社を経営する社長さんにも必ずヒントになることが詰め込んであります。今まで常識だと思っていたことがどんどん覆されるのではないかと思います。

残念ながら、創業者は2014年に亡くなっておりますが、現在はご長男が社長業を引き継いでおり、2018年12月にとうとう東証一部へ上場を果たしたそうです。
ホウレンソウなどせずに各社員が自立して仕事をしている会社ですから、創業者が亡くなっても事業を継続できるのもうなずけます。

山田さんは素晴らしい会社を日本に残してくださいました。
日本中の会社さんが未来工業の経営術を少しでも取り入れて、従業員にとって働きがいのある会社が日本にどんどん増えれば皆が幸せになれんじゃないか、そんなことを感じされてくれる一冊でした。

 

 

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